西希代子「7.血は水よりもうすい」を読んで
『民法演習ノートⅢ』を読みました。
http://asapbooks.doorblog.jp/archives/19226501.html の書評にしたがい、編者でない著者4名の解説をしっかり読みこみ、気にいった答案は繰り返し読むためにコピーしました。
さて、代理母などの問題を論じた西希代子「7.血は水よりもうすい」を読むときのコツですが、「人間の尊厳」を連呼しながら議論に闖入する学部生Qはcv平野綾で涼宮ハルヒを意識して読むべきです(独断と偏見)。
重点的に学習すべき憲法上の権利
現在最高裁判事の山本庸幸2013『実務立法演習』p.17には、立法の実務上「個人の尊重(第一三条)、法の下の平等(第一四条)、表現の自由(第二一条)、財産権の保障(第二九条)、適正手続(第三一条)などが検討の俎上に上がることが多い。もちろん、その法律の守備範囲いかんでは、(以下略)」という記述があります。ということで、
・13条について、自己決定権や、プライバシーの権利、機微情報、自己情報コントロール権否定説
・14条について、
行政法で議論される平等原則
区別の基準(14条1項後段列挙事由など)
区別的取扱いにより得られる又は失われる権利利益(個人の尊厳という憲法的価値とのつながりによって、重み付けをすべきか(尾島明「非嫡出子相続分規定違憲決定判批」法律のひろば66巻12号37頁))
軽犯罪法上の罪などとの関係での罪刑均衡
・21条について、
アメリカ法を研究している先生の憲法の本をいろいろ読むとか、余力があれば連邦最高裁判決を読むのがよさそう。
・29条について、
『地方自治判例百選4版』p.48の27事件(北村和生)、互換的利害関係
財産的価値のある利益処分の撤回(何が既得の財産権として保障され、何が単に信頼保護の原則が適用されるだけか、あるいは信頼保護原則が利益衡量の際に財産権者側の重み付けとして働く(平良小百合)のかは見解が分かれそう)
森林法判決・ベースライン論かハンブルク堤防整備法判決(財産権の任務は私法領域における自由の空間を確保し、自身の生活を自己責任的に形成できるようにすること)・砂利採取事件決定(憲法以下のレベルにある法律から憲法上の意味における財産権の概念を導くことはできない)か
契約の自由(強行規定かソフトロー・任意規定か、契約内容決定の自由の規制・意思表示に代わる判決による契約締結強制か方式の自由の規制か、中心条項の規制か付随条項の規制か、当事者の構造的不均衡を是正する限度を超える規制か)
・31条について、刑罰法規の明確性(用語が抽象的か否か、恣意的な判断のおそれがないか。R1司法試験採点実感参照)、行手条例適用除外の不利益処分を独自に設けたい場合の手続的正義の原則との関係
あたりは特に要点なんでしょうか(個人の感想)。
少しずれるけれど、下は長野県の淫行条例で、検討会の議事録などもあって充実しているので、興味深かったです。
刑法各論から試験勉強をはじめる
職を失って4月まで暇な予定なので、予備試験の勉強をします。
なにから勉強しはじめようか迷いましたが、なんとなく刑法から勉強することにしました。
刑法でも刑法総論のような高尚なはなしは苦手(『基本刑法』で済ませるつもり)なので、刑法各論からはじめました。
山口厚『刑法各論』はもっていたので、さらに井田『講義刑法学各論』と松宮編『ハイブリッド刑法各論』(松宮『刑法各論講義』まで読むと時間がかかり過ぎそうだったのでやめました。)を借りてきて、各罪の択一の過去問を解く作業と各罪の構成要件とその説明を書いていく作業を並行してしました。
殺人からはじめるのは気がのらなかったので、気になる犯罪からやっていきました。
あまりの知識のなさに自分でも驚きました。
刑罰法規の解釈でどの学者も使うのは、保護法益を述べて目的論的解釈をするやつですが、それ以外の解釈のしかたとして、判例説に近い説を選ぶよりも、刑罰法規の明確性とか罪刑均衡を意識した学説を好んで選ぶようにしています(答案を書くのが楽そう)。もちろん、判例説をとったほうが、当てはめで悩んだときに裁判例を参照できるというメリットはあるので、ちょうどいい落とし所をみつけていきたいです。
それがひと段落して、『事例から刑法を考える』を開いたのですが、、、(あとは察してください)