予備試験とか

社会復帰を目指しています。

Ⅰ-2

(1)(a)

XのYに対する甲の所有権に基づく物権的返還請求権。

①甲のX所有。・甲所有権の登記名義人はYでありYの甲所有権が事実上推定されるが、Aに甲所有権の処分を授権したことはないから、事実上の推定が覆され、甲の登記の権利部で前主とされるXが真実の所有者である。

②甲のY占有。

XのYに対する甲の所有権に基づく物権的妨害排除請求権としての登記の抹消の手続の請求権。

①甲のX所有

②甲にY名義の登記がある。

(b)

・甲のX所有の否認。XはAに甲所有権の処分を授権していたと反論することとなる。

民法110条に基づく抗弁として、

①XYの甲売買契約を締結する意思をAが表示したこと

②その際AがXのためにすることを示したこと

③YがAに代理権があると信じたこと

④2004年4月10日甲売買契約に先立ち、XがAになんらかの代理権を授与したこと、設問に即していえば甲に抵当権を設定する物上保証契約を締結する代理権の授与をしたこと。なんらかの代理権の授与又は後述の代理権授与の表示は、表見代理の責任を認めるために最低限必要な本人の帰責性である。

⑤「代理人の権限があると信ずべき正当な理由がある」こと、すなわち甲所有権処分の代理権が存在することに対するYの信頼の正当さと本人Xの帰責性とを総合考慮して「正当な理由」があると認められること。「正当な理由」の評価根拠事実に、委任状の他に甲の権利証、Xの実印と印鑑証明書といった代理権を象徴するものをAがもっていること、甲の売買と甲に抵当権を設定することが甲の処分という点で同質であること。また、委任状に委任事項「甲の処分に関する一切の事項」受任者「A」と書き込まれていればこれも評価根拠事実になる。

民法109条を基礎として重畳的に110条を適用して、これを抗弁として主張することができる。④にかえて、XはAに白紙委任状を交付することにより、甲に抵当権を設定する物上保証契約の締結についてAに対し代理権授与したことを表示したことを主張立証する。

(c)

「正当な理由」があることの評価障害事実。委任状が白紙委任状であれば、それにも関わらず本人Xに直接問い合わせるなどして甲所有権の処分を一任する代理権が本当に存在するか確認していないこと。

 

仮にXが重度の認知症によって、4月7日Aに対して甲に抵当権を設定する代理権を授与した当時に意思能力を欠いていた場合はどうか。

民法110条に基づく抗弁は、再抗弁として④基本代理権の授与が無効だったことを主張立証した場合には、Yの主張は認められないこととなる。

民法109条と110条の重畳的適用の抗弁は、Aが代理権授与の表示をした当時に重度の認知症の症状あったことが、本人の帰責性を否定するほうにはたらき、(c)「正当な理由」の評価障害事実となるから、やはりYの主張は認められないこととなる。

 

(2)

民法109条及び110条は、Yのような取引の相手方を保護する趣旨の規定だから、無権代理人の取引行為により移転したかのような外形をもった物権の転得者は、「第三者」に当たらない。

設問によれば、Xが甲に抵当権を設定する代理権をAに授権する趣旨で白紙委任状、甲の権利証、Xの実印、その印鑑証明書をAに交付したというXの帰責性のある行為により、甲に抵当権を設定するというXの意思と対応しない外形(不実の所有権移転登記)が作出され、この登記を信頼したZがYと甲売買契約を締結している。登記による外形が意思と対応しない以上は虚偽表示に関する94条2項を単に類推適用するのではなく、Xの帰責性とZの信頼の正当さを比較考量するために110条の法意も考慮にいれる。

ZはYとの6月1日売買契約により甲所有権を取得しようとした。設問の6月1日取引行為のときに甲所有権の登記名義はYにあった。ZはYが所有者であると信じていて、かつZが信じたことは登記によるものであって「正当な理由」があるといえる。この他に「正当な理由」を否定する事情はない。

よって、Xの所有権に基づく甲返還請求と、登記の抹消の手続の請求は認められない。

もっとも、Zが不動産業者でAとYの取引に同席していたとすれば、専門の不動産業者にもかかわらず本人Xに代理権の存在を確認をしなかったことが、「正当な理由」の評価障害事実となり、Xの請求が認められる。

 

コメント 潮見全の知識があれば解ける問題でした。総合考慮説の論証のしかたがいまいち分からない。

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