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詐欺罪の解釈

学部時代ゼミ行政法だったので、行政刑法の解釈とか罪刑法定主義とかの関連でしか刑法を勉強したことがないのですが、少ない資料で自分なりに勉強したことをまとめてみます。

コメントをいただけるとうれしいです。

 

まず、詐欺罪の構成要件をすべてすらすら言えるようにしました。たぶんこれが重要なことは誰もが認めるのではないでしょうか。

1欺く行為があり、その結果として、2被害者の錯誤があり、錯誤に基づいて、3被害者の錯誤に陥った者の財産的処分行為があり、その結果として(直接性)、4行為者又は第三者において財物の占有又は財産上の利益が取得されること、という因果関係のある一連の流れです。

 

更に5つめの書かれざる構成要件を認めるかについては議論があります。

1.「個別財産の喪失があれば、それだけで損害があった」とする形式的個別財産説によれば、電気あんま器の事例で問題なく詐欺罪の成立を認めることができます。

2.しかし、取引上不当な行為があった場合、個別法による規制、場合によっては罰則を伴う規制がされるかは格別、詐欺罪に当たるのは一定の限定された場合のはずです。そこで、実質的個別財産説は、書かれざる構成要件として、「反対給付による利得を加味してもなお財産的損害が実質的にあること」を加えます。実質的個別財産説は、「社会通念上別個の支払いといい得る程度の期間支払いの時期を早めた」場合には詐欺罪が成立するとした最判H13.7.19刑集55巻5号371頁(判例百選49事件樋口亮介解説)を説明しやすい点でも魅力的です。

3.井田各論は、書かれざる構成要件要素を加える実質的個別財産説を批判しつつ、近年の判例に整合的な見解をとっています。「欺く行為」を財産処分の基礎となる重要な事項について欺く行為と縮小解釈するものです。

4.ここで、「重要な事項」の当てはめが分からないし詐欺罪による社会的法益の保護を事実上認めてしまっているから井田説は使えないと思っていたのですが、刑事訴訟法学者の白取祐司先生が放送大学の「刑事法」第7回で、「欺く行為」とくに重要事項の解釈にあたって将来の経営上の利益をしっかり考慮することで財産犯としての解釈の枠におさめることを提案されていて参考になりました。

 

この他に論点でおさえたものは、

・利益の移転性の要否

・直接性

・処分意思不要説批判の論証(判例百選52事件高山加奈子解説)

・錯誤に陥った者と被害者が分離している場合(三角詐欺)に被欺罔者が被害者側の陣営であれば詐欺罪が成立する(中森説)か窃盗罪の間接正犯と区別するために「錯誤に陥った者において被害者のためにその財産を処分し得る地位又は権能(最判S45.3.26刑集24巻3号55頁)」が必要か

・「偽りその他不正の行為」を構成要件とする罰則との罪数関係

 

最後にまとめると、白取『刑事法』はとても参考になりました。百選の樋口解説と高山解説は読んで知識が深まったと思います。逆に、山口各論と井田各論は分かりづらくあまり参考になりませんでした。

刑法のことは全然分からないので、批判的なものでも、これを読んでないのかよ的なツッコミでも、刑法が好きな方からなにかしらコメントを頂けるとうれしいです。