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第8章 捜索・差押え(2)

設例についての問い

1.無令状の捜索・差押えの根拠規定としては刑訴法220条1項2号がある。しかし、Xは連行されることで「逮捕の現場」から離れているからこの規定を根拠に捜索・差押えをすることはできない。これに対して、Xの身体及び所持品には証拠の存在する蓋然性が「逮捕の現場」と同程度にあり、「逮捕の現場」と同視して捜索・差押えを認めるべきとする見解があるが、憲法31条を根拠として、国会の制定する法律による民主的統制を強制処分に及ぼす強制処分法定主義に違反する類推解釈であって採用できない。

けっきょく、Xの注射器を差押えた手続は違法というべきである。

2.Xの居宅に立入り、捜索する時にXが居合わせてしかもXが立入り・捜索に反対する意思を表示しなかったということは、本件捜索は個人の意思を制圧するものではなく、任意の手続として違法はないと主張することが考えられる。

しかし、逮捕された者に付き添うことは逮捕の本来的効力であるとしても、憲法35条は無令状で侵入を受けることのない権利を保障していることから、Kらの立入りは違法ではないかが問題となる。Xは自発的に自宅に戻りたいと申出てプライバシーの権利を放棄しているのだから、憲法35条の保障は及ばず、適法な立入りである。立入りの際に一律に権利告知が必要とまで解する根拠はない。

また、憲法35条は無令状で捜索を受けることのない権利を保障していることから、Kらの捜索は違法ではないかが問題となる。これについて、捜索を任意に承諾することは通常想定できないとして承諾捜索にも令状を必要とする見解もある。しかし、場所のプライバシーすなわち管理権を有する者が真意によりその権利を放棄した場合には憲法35条の保障が及ばず、適法な承諾捜索となると解すべきである。これを本件についてみると、Xは黙示の承諾によりプライバシーを放棄していたと認めるべきかが問題となる。憲法上の権利の放棄であるから承諾が真意によるものといえるかは慎重に判断すべきであり、(1)捜索の行われる意味とこれを拒絶できる立場にあることを十分に理解しつつ、(2)任意に承諾したものであるか、により判断すべきである。

これを本件についてみると、Kらによる捜索を拒絶し得ることの告知がなく(1)捜索を拒絶できる立場にあることを理解していたとは認められない。また、任意性の判断にあたって(1)のような特別の要件は不要であるとしても、Xは一方的に捜索されることをせいぜいあきらめて黙っていたいただけであって(2)任意の承諾があったとは認められない。KらのX居宅における捜索手続は、憲法35条に違反する違法な手続である。

3.相当説によれば、令状を請求すれば許されるであろう被疑事実と関連性のある範囲で差押えが認められる。

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6.明文の規定によれば、刑訴法220条1項2号の「逮捕の現場」に当たらないから違法のようにも思える。しかし、逮捕を完遂するために凶器・逃走具を保管する措置は逮捕の効力として本来的に許されるのであって、凶器となり得るアイスピックを逮捕者の身体の安全のために取り上げることは適法な手続というべきである。

7.KらがXをX居宅に一緒に行くように誘導したのは、その後に逮捕にともなう無令状の捜索・差押えを行い令状主義を潜脱すること目的としたものであって、任意捜査として必要性・緊急性を欠き、比例原則に違反する重大な違法がある。これを直接利用した差押えには違法性が承継される。