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第9章 捜査手段としての会話盗聴

設例についての問い

1.2.そもそも、刑訴法197条1項にいう「強制の処分」とは、単に被処分者の意思に反する捜査手段ではなく、そのなかでも、身体(憲法34条)、住居又は財産(憲法35条)若しくはこれらに匹敵する憲法的価値のある重要な利益を侵害する類型の捜査手段をいうと解すべきである。

公道や公園その他の公共のスペースでの会話は、それを国家機関がひそかに立ち聞きし、又は録音することが憲法13条の保障するプライバシー権の制約に当たるが、会話をしている人が有しているのはプライバシーの主観的な期待に過ぎず、住居での会話に対するプライバシーの合理的期待が侵害される場合と比較すると権利制約の程度は小さい。したがって、公共スペースでの会話の立ち聞き又は録音は任意捜査であって、比例原則に違反しなければ許容される。

これに対して、住居その他の私的領域での会話をひそかに録音することは、集音器を用いるか否かに関わらず、会話の自由に萎縮効果を与えプライバシーの合理的期待を侵害するから重要利益侵害処分に当たる。また、会話を傍受される者からすれば、合理的に推認される個人の意思に反する。したがって、私的領域での会話をひそかに録音する捜査手段は強制処分に当たる。

3.会話を録音する捜査手段は、五感の作用により対象を認識し、又はこれを保全する検証としての性質を有しているとして、検証令状の発布を請求することが考えられる。

しかし、私的領域での会話の録音は、その場所で行われる会話を継続的に把握する捜査手段であって、令状審査によっては被疑事実と無関係な者や無関係な内容の会話の過剰な把握を抑制できないおそれがあるから憲法35条の「各別の令状」の要件に該当するかが問題となる。これに対しては、例えば振り込め詐欺の拠点など検証の場所を特定したうえで、それでも対象外と思慮される会話が録音されてしまうことは避けられないから対象外の会話の録音は刑事訴訟法129条の「必要な処分」として行うことができることを前提に、当該必要な処分により得た録音データは速やかに削除する条件を付することで、刑訴法の定める検証の手続によっても令状主義の要請を満たす場合があり得るとする反論が考えられる。もっとも、この見解によっても、少なくとも現行刑訴法によれば、本件のような場所での録音は検証令状の発布を請求しても却下される。

仮に令状主義に違反しないとしても、法律の定める適正手続きを保障する憲法31条との関係が問題となる。法律の定める「検証」の手続では、被処分者が不在である場合に準じて刑訴法222条1項による114条2項の準用がされて110条の準用がなく、処分の通知が事後にもないため不服申立ての機会が担保されていない。被処分者に対する令状の事前呈示がないことはやむをえない例外だとしても不服申立ての機会は担保されるべきであって、検証令状による私的領域の会話傍受は憲法31条に違反する適用違憲と解すべきであり、令状請求は却下される。

 

コメント

新時代の刑事司法制度特別部会 第1作業分科会(第8回)

http://www.moj.go.jp/content/000118694.pdf

を読みました。

強制処分の定義の論証をどうすべきかまだ迷っています。