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Ⅲ-2

(1)譲渡担保について所有権的構成を採ると、消滅時効に伴う譲渡担保契約終了を請求原因として、債権的な登記請求をすることとなる。

担保権的構成を採ると、当初請求である物権的登記請求を、2005年5月12日完成した消滅時効(商法522条)と付従性による譲渡担保権の消滅の主張により維持することとなる。

(2017第二回補足説明レジュメ参照 。担保権的構成を採ったときの、物権的登記請求に対する登記権原保持の抗弁を知らなかった。)

事例1 Sによる2006年4月1日消滅時効の援用を主張する。

事例2 Sが「債務承認書」を差し入れたときには時効が完成しているから、Sがその権利を承認(民法147条3号、改正民法152条1項)したことにはならない。そこで、Gとしては信義則違反を主張することが考えられる。しかし、消滅時効はそもそも債務者に信義に反する主張を認めることを前提としている*1から、Gの信義則違反の主張は認められないと解すべきである。

もっとも、最判S41.4.20民集20巻4号702頁は、禁反言と債務者はもはや時効を援用しないであろうとの相手方の信頼保護を理由に信義則違反の主張を認める。そこで、Bが独自に時効を援用することが考えられる。これに対してもGは信義則違反を主張することが考えられる。その理由としては、BがSの代理人を偽り権利行使を事実上妨げていたことが信義則違反に当たると主張することが考えられる。裁判例にも、被告が無断転貸を隠蔽していたため解除権行使が遅れたとして、信義則違反を認めた事例(東京高判S54.9.26判時946号51頁)や、道路拡張工事中の火薬類取締法規違反に起因する事故により自衛隊員が負傷した事案で、被告国がことさらに違法行為を秘匿していたとは認められないとして信義則違反を否定した事例(東京高判S58.4.27訟月29巻11号2041頁)がある。

(2)Gはβ債権の消滅時効を独自に援用することとなる。そこで、Gがその意思を顧慮されるべき民法145条にいう「当事者」に当たるか(改正民法145条にいう「正当な利益」を有するか)が問題となる。時効を援用するにつき直接の利益を有する者をいうと解する見解もあるが、「直接の利益」がどの範囲を指すかは論者により異なり、曖昧で採用できない。時効を援用することで権利を得、反対に援用しなければ権利を失うおそれがある者であって、他の援用権者とは別個独立の利益を有するものをいう*2と解すべきである。

譲渡担保について所有権的構成を採れば、GはHが担保権を実行すれば所有権を失う恐れがあるから時効の援用権を有するようにも思える。しかし、担保権的構成を採るか、そうでなくても担保という実質に即して考えれば、後順位担保権者であるGの利益は順位上昇の期待という反射的利益に過ぎず、Gは独自に時効を援用できない。

 

 

*1:五十嵐清判例評論95号18頁

*2:佐久間ほか (2010)『リークエ総則』p.328