予備試験とか

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H28予備試験 憲法

良心の自由

憲法19条が良心の自由として保障するのは、人の人格の核心にかかわる精神活動について公権力から介入されないことであると解すべきである。あるカップルが法律婚を選択するかしないかは当人の生き方の根幹に関わる決定でありその人の人格の核心に深くかかわる。それと同様に、法律婚の選択に肯定的な見解をもつか否かは人の人格の核心にかかわる事柄だといえる。

補助金給付の条件として本件宣誓書の提出を求めることは、婚姻のなかでも法律婚を選択することをことさら肯定するという人格の核心にかかわる倫理的判断の表明を、Xの名義で行うことを、公権力によってXに要求するものであって、このようなA市の介入は良心の自由を侵害する違憲なものである。

あるいは端的に、本件宣誓書の提出を給付条件とするという手段をとったことは、良心の自由という不可譲な権利の放棄を給付条件とすることで良心の自由を放棄することを強制するのと同じ効果があり、違憲だと主張することも考えられる。

これに反論して、補助金給付の条件として本件宣誓書を求めたに過ぎず、Xは宣誓書を提出しないという選択をすることができるのだから、なんらXの自由を侵害するものではないとか、Xは法人だから人格的利益が認められず、良心の自由を享有しないと主張することが考えられる。

消極的表現の自由

仮に、本件宣誓書の提出を求めることが、Xの良心の自由を侵害しないとしても、憲法21条1項が保障する表現の自由を侵害しないかが問題となる。

宣誓書の提出は、例えば行政上の報告義務を課せられた場合と同様に、消極的表現の自由を侵害しないようにも考えられる。しかし、本件宣誓書を提出したことが情報公開されると、宣誓書の文言がXの名義の言論として受けとられ、思想の自由市場を歪めるから、憲法21条との関係が問題となる。

市の事業の実施との関係では、宣誓書の提出を補助の条件とすることに代えて、補助の負担として法律婚による成婚数を上げる努力義務を課すことで足りるから、本件宣誓書の提出の必要性は認められない。

よって、Xの表現の自由を侵害し、違憲である。

 

コメント

給付の違憲性を主張する問題ということで、まっさきに平等原則が浮かびました。中川善之助の準婚理論*1によれば「届出の如き確証を絶対必要とする如き種類の効果を除いて」内縁にも婚姻に関する規定を準用すべきとされていることが参考になりそうです。ただ、事実婚の当事者ではない法人Xに平等権侵害の主張適格があるのかはよく分かりません。出題趣旨や『憲法ガールⅡ』には平等原則のことなんて全く書いてなかったので、無理筋なのでしょうか。

自由権侵害を主張するところでは「介入」という用語を意識して使いました。あと、論点漏れが嫌なので違憲な条件の法理っぽいことも書いておきました。

結社の活動の自由も論じるべきみたいですが、結社の活動の自由についてよく知らない。。。

*1:「婚姻の儀式(五)」法協44巻6号(1926)p.1117