予備試験とか

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Ⅲ-11

(2)(a)乙土蔵にある美術工芸品及び材料がX所有であることを確認する。また、間接占有するYに命じて、所有者Xに占有移転するようBに対する指図をさせる。そこで、X所有をどのように主張立証するかが問題となる。

分析論又は従来からの集合物論によれば、前主Aと甲土蔵にある美術工芸品及び材料の所有権移転の合意及びこれから搬入される美術工芸品及び材料の先行的所有権移転の合意を内容とする2006年6月1日譲渡担保契約をしたことと、現在乙土蔵にある美術工芸品及び材料が2006年6月1日以降に甲所有で甲土蔵に置かれていたことがあることとを主張立証する。

集合物概念徹底説によれば、Xが甲土蔵にある美術工芸品及び材料の所有権を取得するのは、6月2日に送った担保権実行の通知がBに届いたことにより所有権移転の目的物が特定したときであって、それ以前に美術工芸品や材料は乙土蔵に移動しているから、取消しと財産返還請求権とを合一した性質を有する詐害行為取消権によることとなる。

 

(b)分析論によれば、Aが通常の営業の範囲内での甲土蔵中の美術工芸品及び材料の処分について処分授権をされていたことと、AとYとの売買契約と、当該売買契約がAの通常の営業の範囲内であることとで所有権喪失の抗弁を主張立証する。集合物論によれば、AとYとの売買契約と、当該売買契約がAの通常の営業の範囲内であることによって、甲土蔵中の美術工芸品及び材料が集合物から分離したことを主張立証する。そこで、処分が通常の営業の範囲内であったかが問題となるが、仕事をできなくなったAが在庫を一掃するためにした処分は、通常の営業の範囲内にはないからYの抗弁は認められない。予備的に、過失なく占有を取得する(192条。善意平穏公然は186条1項により暫定真実)ことで、美術工芸品及び材料の所有権を取得したと主張することが考えられるが、Aが直接占有したままで占有状態に変更がない場合にまで即時取得を認めることは取引の安全を害するから、Yの主張は認められない。

 

(3)Xは、甲土蔵中の材料に対するXの所有権を主張して民事執行法38条に基づき第三者異議の訴えを提起する。

Zの反論として、譲渡担保を担保という実質に即して考えれば、民事執行法59条1項が譲渡担保に類推適用されるか否かはともかくとして、通常の所有権者とは異なり第三者異議の訴えを提起することがそもそもできないと主張することが考えられる。しかし、民事執行法59条1項は限定列挙であって類推適用することができず第三者異議の訴え以外に債権者の担保的利益を守る手段がないことから、所有者として第三者異議の訴えを提起できると解すべきである。

そこでZは、甲土蔵中の材料にはZの動産売買先取特権が存在しているからXはZによる差押及び換価並びに配当手続におけるZの優先弁済を受忍することとなると主張する。なお、Zの売買代金債権は更改により貸金返還債権となっているが、先取特権は付従性により直ちに消滅するわけではなく、更改をした当事者の合理的な意思にしたがい存続している。

しかし、民法333条は先取特権が公示に欠けることから第三取得者が現れると先取特権が消滅することを定めており、この趣旨は譲渡担保権者との関係でも妥当するから、Zは先取特権のない単なる一般債権者であって、換価権を失っている。

さらにZは、3月の時点でXの集合流動動産譲渡担保の目的物は固定化していて、その後から甲土蔵に搬入された材料はB所有であると反論することが考えられる。しかし、Xの言い分通りならば、はじめて譲渡担保の実行通知を出したのは6月2日であって、それ以前には集合流動動産譲渡担保の目的物は固定化していなかったのであるから、甲土蔵中の材料にはXの所有権が及ぶ。Zの再反論として、Bは税金の滞納処分を受けた時点で、いわば事実上の倒産状態にあったのだから、集合物論又は集合物概念徹底説にたって、附合物に関する民法370但書後段を集合物に類推適用すると、倒産状態後の集合物への組入れ即ち占有改定は詐害行為に準ずるから、甲土蔵中の材料は集合物に含まれないと主張することが考えられる。

 

途中