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第20章 検察官面前調書

1.Vは「国外にいる」から「公判準備若しくは公判期日において供述することができない」と直ちに認められる。よって、刑訴法321条1項2号により証拠として採用できる。

もっとも、憲法37条2項は検察側提出の供述証拠を吟味する権利を被告人に保障していると解する見解があり、憲法違反であれば証拠として採用できないため問題となる。Vは外国人で公判廷に出頭できないおそれがあると検察側は知りながら、担当検事がVを呼び出した際に弁護人を立ち会わせるなどの措置すら採らず、被告人による証拠吟味の機会を失わせたのだから、憲法37条2項の権利の侵害であって、証拠として採用できないと主張することが考えられる。

しかし、証人とは公判廷に出てきて口頭証拠を提供する者をいい、憲法37条2項にいう「証人」もこの意味と解される。そうすると、Vの公判廷外供述に憲法37条2項の適用はないから、本件検面調書を証拠として採用しても憲法に違反しない。

2.来日予定があれば、「公判準備若しくは公判期日において供述することができない」の要件に当たらないから、証拠として採用できない。

3.検察官には国外退去の時期を遅らせる法令上の権限がない以上、検察官が国外退去処分を利用して被告人による憲法37条2項の権利の行使を妨げた等の事情がない限り、証拠として採用できる。

4.刑訴法321条1項柱書は、署名又は押印を録取の正確性を推定するための法定条件として定めているから、他の証拠により録取の正確性を認定することはできない。よって、証拠として採用できない。

5.犯行時のことを忘れたことを理由に証言がされなかったから、供述不能に当たる。

但書きにより「前の供述を信用すべき特別の情況の存するとき」であることも要件となる。そこで、傍聴席の雰囲気に畏怖して証言できなくなった可能性があることや、Wは忘れたと述べているので犯行時により近接した時点に録取された検面調書のほうが記憶が新しく信用すべきことを指摘する。

6.確かに、証人が記憶喪失の場合に供述不能要件に該当することを認めた判例(最決S29.7.29)はあるが、条文上例示された事由と同程度に、実質的に供述獲得が不可能な場合に限られると解釈すべきである。そう解さなければ、証人審問権を保障した憲法37条2項にも適合しない。

単に部分的に記憶が曖昧になったにとどまる本件のような場合には、供述不能とは認められない。

7.供述不能とは認められないから、調書(iii)の証拠採用を留保したうえでWが再度証人として証言したときに、仮に忘れたと述べたならば、証拠として採用できるかが問題となる。証言の際には、刑訴規則202条により裁判長が傍聴人を退廷させる等の措置を採るべきである。

仮に忘れたと述べた場合、調書(iii)を採用すれば異なる事実認定に至る可能性があり、前の供述と相反する供述若しくは実質的に異なる供述には当たるが、傍聴人を退廷させる措置を採ったにも関わらず忘れたの述べた場合には、相対的特信情況に当たるとは認められない。たとえ相対的特信情当たるとしても、証拠として採用することは証人審問権の侵害となる。