予備試験とか

30歳までに弁護士になって岐阜帰還することを目指しています。地方自治、法と言語に興味があります。

UNIT 9 弁論主義・自白

重要論点

Q1

1)

2)自己に不利益なある主要事実を認めるとか争わないという旨の陳述をしたとき、私的自治を根拠とする弁論主義第二テーゼの適用により審判排除効が生じると解されている。そこで、所有権の来歴についてYがAのもと所有を認めたとき、所有権も「事実」に当たるとみなしてよいかが問題となる。これについて、あくまで法規の適用は、法規の解釈と同様に裁判所の専権に属するから、もと所有を認める陳述に審判排除効は生じないとする見解がある。

しかし、先決的権利の存否について当事者間の一致があるにも関わらず裁判所に証拠調べを求めるのは迂遠で訴訟経済に反するから、当事者が当該権利の意味内容を理解したうえでそれを争わない意思が明らかであれば、審判排除効が生じると解すべきである。

訴訟経済を理由とするのであれば、不要証効を定めた民事訴訟法179条のみを適用すれば足りるとする見解もあり得るが、不要証効は、審判排除効が生じる結果として当然に生じるものであって、民事訴訟法179条はこれを確認的に定めた規定である。

裁判所は、民事訴訟法179条の不要証効により、Aもと所有を判断の前提としてよい。仮に、裁判所が証拠調べの結果Aが甲地を所有していたと認めることはできないと判断した場合でも、弁論主義第二テーゼにより審判排除効が生じるから、裁判所はAもと所有を判決の前提とすべきである。

Q2

1)民事訴訟法179条による不要証効が生じると、当事者は証拠を収集することをやめたり、証拠を廃棄したりするかもしれない。よって、相手方の信頼保護を根拠に、自白の撤回は制限される。自白は当事者の意思表示であるから、錯誤に基づく自白は撤回することができる。錯誤の証明は困難だから、反真実を証明すれば錯誤が推定される。

2)

Q3

1)本件では、YがBに金員を支払った趣旨が争点となっている。

当事者は何を主張すべきかという、弁論主義の適用がある事実を定めるに当たっては、訴訟の勝敗に影響する重要な事実であるか、つまり真の争点を構成しているかが重要と解すべきである。*1よって、主要事実に加えて、主要事実の認定を左右する間接事実(以下、重要な間接事実という。*2 )も、弁論主義が適用される。

Xの甲地所有は、XのYに対する甲地所有権にもとづく乙収去甲明渡し請求の請求原因となる主要事実である。本件では、甲地の所有権移転をめぐって、登記の通りB売主X買主甲地売買契約がありXが甲地を所有するに至ったのか、真実はB売主Y買主甲地売買契約があったのかが争点となり、「売買代金はXがYの銀行口座に振り込みYがBに支払った」ことは、前者の売買契約を推認させる重要な間接事実となっている。Yは当該重要な間接事実を認めるという自己に不利益な陳述をした。

よって、Yの自白に不可撤回効が生じ、これと両立しないYの主張は許されない。もっとも、Yは自白に錯誤があったことを立証すれば、不可撤回効が解除される。

2)「売買代金はXがYの銀行口座に振り込みYがBに支払った」というYが自白した事実と併存不可能な、「XがYに1億円を貸し渡し、Yはこれを甲地買戻し売買代金の弁済にあてた」という事実を裁判所が認定することは許されるか。

これについて、自白された間接事実と証拠調べの結果認められた間接事実が併存不可能であるとき、自白の拘束力を維持するならば、自由心証主義による当該要件事実の認定が不可能になるから、当該自白の拘束力を解くべきである*3。また、XがYの銀行口座に1億円を振り込んだ趣旨から、それだけでBX間甲土地売買契約の要素であるXのBに対する代金支払約束がなかったという推認は働かないから、重要な間接事実には当たらず、弁論主義第二テーゼは適用されない。

裁判所は、「XがYに1億円を貸し渡し、Yはこれを甲地買戻し売買代金の弁済にあてた」と認定することができる。

Q4

1)

2)

 

コメント 

Q1で審判排除効の生じる事実と不要証効が生じる事実を分けると、Q3が解きづらい。Q4.はどちらも弁論主義の第一テーゼに反し違法ですが、古い最高裁判決にも言及しなさいということでしょうか。

*1:田尾1969「主要事実と間接事実にかんする二、三の疑問」p.289,290

*2:田尾説を修正した高橋説

*3:中西p.49